今回の調査で見えた3つの技術テーマ
1.発電量予測の精度向上
太陽光発電や風力発電の出力は、日射量、風速、風向などの気象条件によって大きく変動する。発電計画や電力需給を安定させるためには、地域や地形の特性を考慮した高精度な予測が必要である。
関連特許では、気象予測データと過去の発電実績を組み合わせ、機械学習によって短時間単位や広域の発電量を予測する技術が確認された。
三菱電機株式会社の「日射強度予測装置」(特願2021-019557、特開2025-071169)では、日射強度の予測値と実績値を学習用データとして使用し、機械学習によって時間帯ごとの日射強度を予測する技術が示されている。
また、東北電力株式会社と東北大学の「風力発電予測装置、風力発電予測方法及び風力発電予測プログラム」(特願2024-010477、特開2025-115815)では、複数地点の風速予測データと風力発電機の発電実績を用いて、広域の発電量を予測する技術が確認された。
2.設備の劣化予測・保守最適化
風力発電機、太陽光発電設備、蓄電池などは、長期間の運用によって部品や材料の劣化が進行する。一方、劣化の進み方は、使用環境や稼働状況によって異なるため、一律の基準で保守時期を判断することは難しい。
関連特許では、設備に設置したセンサーからデータを取得し、通常時のデータと比較することで、異常や損傷の兆候を早期に検知する技術が確認された。
日立パワーソリューションズの「風力発電システムの異常予兆診断システム」(特願2016-043081、特開2017-161225)では、風力発電機の主軸ベアリング付近に設置したセンサーのデータから、損傷の初期段階を検知する構成が示されている。
今後は、異常の検知だけでなく、AIが異常と判断した理由や、保守が必要となる時期まで分かりやすく提示する技術が注目される。
3.分散型エネルギー資源の統合制御
VPPの実現には、太陽光発電、風力発電、蓄電池、EVなど、各地に分散するエネルギー資源をまとめて制御する仕組みが必要である。
関連特許では、複数のEVに搭載された蓄電池の充放電を制御する技術や、発電量、市場価格、電力需要などの変動を考慮して運用を最適化する技術が確認された。
トヨタ自動車株式会社と豊田通商株式会社の「仮想発電所の電力管理システム」(特願2022-063461、特開2023-154252)では、複数車両の車載電池について充放電可能量を算出し、車群全体への出力要求に応じて充放電を制御する技術が示されている。
また、三菱電機株式会社の「移動体エネルギーストレージを用いた仮想発電所についての確率的な入札戦略」(特願2021-041670、特開2021-151185)では、再生可能エネルギーの生産量や市場価格などの変動を考慮し、エネルギーの配分や入札を最適化する技術が確認された。