今回の調査で見えた3つの技術課題
1.現場データの不足・不統一
ロボット・FA分野では、設備メーカーごとに独自のデータ形式や通信仕様が採用されている。古い設備も稼働しているため、工場全体の稼働データ、センサーデータ、品質データを統合し、AIの学習に利用するには大きなコストがかかる。中小製造業では、センサーやデータ基盤の整備が進んでいない場合もある。
関連技術として、エッジコンピューティング、OPC-UAなどの標準プロトコル、マルチベンダー機器のデータ連携が挙げられる。今回の分析では、ファナック株式会社、三菱電機株式会社、オムロン株式会社などが関連企業として整理された。
ファナックはFIELD systemによる工場データの収集・連携、三菱電機はe-F@ctoryによるエッジ処理と既存設備との連携、オムロンはi-Automationによるセンサーデータの統合に取り組んでいる。
2.熟練者の暗黙知のデータ化
製造現場の技能には、手の動き、力加減、作業音、加工状態の見極めなど、言語化しにくい暗黙知が含まれる。熟練者の高齢化や人手不足が進む中、技能をモーションデータやセンサーデータとして収集し、ロボットやAIへ移転する技術の重要性が高まっている。
関連技術として、動作模倣学習、モーションキャプチャ、強化学習、VR・ARを用いた技能伝承が挙げられる。今回の分析では、株式会社安川電機、川崎重工業株式会社、パナソニックなどが関連企業として整理された。
安川電機はロボットの動作教示と模倣学習、川崎重工業はSuccessorによる遠隔操作と自律動作の融合、パナソニックは溶接・組立作業に特化した技能伝承に取り組んでいる。
3.AI判断の説明可能性・信頼性
製造現場でAIが異常や不良を判定する場合、現場担当者は判定理由を確認する必要がある。判断過程が分からないブラックボックス型AIは、品質保証、安全管理、設備保全における検証を難しくし、導入の障壁となる。
関連技術として、注意機構による判断根拠の可視化、ルールベースとAIを組み合わせた手法、不確実性の定量化などが挙げられる。今回の分析では、株式会社日立製作所、富士通株式会社、日本電気株式会社などが関連企業として整理された。
日立製作所は異常検知と判断根拠の可視化、富士通はWide Learningによる少量データでの説明可能性、NECは異種混合学習による予測と説明に取り組んでいる。